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映画「侍タイムスリッパー」ネタバレありあらすじ! 武士が時代劇の斬られ役に!結末はどうなる? 感想レビュー

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映画侍タイムスリッパーは2024年に公開された作品で、2024年の日本アカデミー賞最優秀作品賞を獲得しました。

 

自主制作映画にもかかわらず、クチコミで評判が広がり、面白さから全国に上演館が増えていったという異例な作品です。

 

今回は侍タイムスリッパーのネタバレありあらすじと私の感想レビューをまとめました!

 



 

 

 

 

 

 

 

映画「侍タイムスリッパー」のキャストは?

 

侍タイムスリッパーの主なキャストは下記の通りです。

 

高坂新左衛門 …山口馬木也

風見恭一郎…冨家ノリマサ

山本優子…沙倉ゆうの

殺陣師関本…峰蘭太郎

山形彦九郎…庄野﨑謙

住職の妻・節子… 紅萬子

西経寺住職 …福田善晴

撮影所 所長・井上…井上肇

錦京太郎(心配無用ノ介)…田村ツトム

 

 

映画「侍タイムスリッパー」ネタバレありあらすじ!

 

 

※侍タイムスリッパーのネタバレを含むためご注意ください!

 

幕末の京都の夜。会津藩士である高坂新左衛門は長州藩士を討つためにもう一人の藩士と一緒に暗闇に身を潜めていました。

 

「壬生のやからに手柄をあげさせるわけにはいかん。会津の者の意地を見せてやる。」

 

 

そこに標的である山形彦九郎が現れます。

 

相方が問答無用である、と斬りつけようとしたところ、彦九郎にあっけなく斬られてしまいました。

 

彦九郎は新左衛門に名を聞き、新左衛門が答えます。

 

2人はお互いにらみを利かせて剣で戦い合っていると、大雨が降ってきて雷鳴がとどろいています。

 

そして突然大きな雷が落ちたのでした…。

 

 

 

新左衛門が目を覚ますと、そこは見知らぬ街で誰もいません。

 

「あの時、雷が落ちて…。わからん。」

 

 

そこは現代の映画の時代劇撮影所だったのでした。

 

 

 

撮影所で撮影をしているキャストは「このドラマ、今クールで打ち切りらしいよ」と噂をしていました。

 

「わしらは現代劇でしのげるけど、殺陣一筋の関本さん、どうするんやろ…。」と殺陣師の関本の心配をしていました。

 

関本は助監督の山本優子とセリフの変更について話しをしていました。

 

監督は「とりあえず今日中にこのシーンを取り切らんと間に合わん。」と焦っていました。

 

新左衛門は撮影所を歩いていると、行きかう人々を見かけます。

 

「すまん、ここはいずこであろうか。」と尋ねるも答えてくれません。

 

魚屋を演じているキャストに尋ねた新左衛門は魚が作りものであることを気づいてしまい、キャストは大慌て。

 

 

そして女性が絡まれているシーンが撮影されているのを見かけ、新左衛門は近寄ります。

 

「やめねえか」と主演の心配無用ノ介が登場します。

 

「お江戸の街にうごめく悪を斬って捨てよと使わすわ、神か仏か閻魔か鬼か…。

 

世直し侍、心配無用ノ介というのは俺のことだ。」

 

新左衛門はセリフを聞いてやり取りをいぶかしそうに見ていました。

 

 

「それにしても、江戸とか申しておったな…。京の都から江戸まではひと月の旅路…。そんなバカな。」と新左衛門は考えていました。

 

 

テストが終わり、撮影は本番を迎えています。

 

 

そしてまた同じシーンが撮影されており、新左衛門が「またか」と見ています。

 

 

心配無用之介が名乗ろうとしたところ、「心配無用之介殿、助太刀いたす!」と新左衛門は真剣を抜き、キャストやスタッフは慌てます。

 

「いざ!」というと、監督が「お前は何をしてる!!」と怒ります。

 

「いや、心配無用之介殿を難儀をしているご様子…それを助太刀を掴ませようと…。」

 

優子が慌てて新左衛門を遠ざけ、「困ります!どこの事務所から来ました?」と聞きます。

 

「拙者、松平家下中、香坂新左衛門と申す。失礼をしたようで、」と詫びます。

 

「作品が間違っているようです。現場から出て行ってください。隣で別の撮影が行われているようです。」と案内します。

 

「あの風体、異国のおなごか。非常にしっかりとした物言いで。」と新左衛門は撮影村を歩いていきます。

 

新左衛門は見たことがない現代のものに戸惑いながら歩いていきました。

 

そして撮影中だったゾンビに驚いてはしごにぶつかってしまい、救急車で運ばれます。

 

新左衛門は病院に運ばれ、病室で目が覚めますが、見たことない風景に戸惑っていました。

 

そして優子ば病室に入ってきて「心配しました。かなり打たれたようで。後でCTも取りましょうね。」と声を掛けます。

 

お名前を聞いてもいいですか?と聞かれ、「高坂新左衛門です。」と答えます。

 

そして新左衛門は窓から見る景色に驚いていました。

 

 

優子が看護師さんを呼びに行くと、病室には新左衛門の姿はありませんでした。

 

新左衛門は一人で街に出て、電車や車などに驚きながら一人で放浪を続けていました。

 

 

新左衛門はお店に貼ってあった「黒船来航」の展覧会のポスターを目にします。

 

そこには黒船来航から幕府滅亡まで、と書かれており、幕府が滅んでから140年、という記載を目にしてしまいます。

 

 

夜、新左衛門はお寺の前で「武士の世はとうに終わっていたと…。」とつぶやき、剣を持ち自害しようとします。

 

すると雷鳴がとどろきます。

 

雷は昔と変わらない…。

 

 

そして大雨が突然振り出してしまいます。

 

 

新左衛門は「落ちろーーー!!戻せーーーー!!」と空に向かって叫びます。

 

 

翌朝住職が掃除をしていると、新左衛門が倒れているのを見かけます。

 

 

新左衛門が夢を目覚めると、そこには優子がいました。

 

さらに住職の妻の節子が現れます。

 

新左衛門は「あの…ここは…。」と聞くと、住職が「あんた寺の前に倒れてたんや。」と言います。

 

優子は「高坂さん、どうして病院抜け出したんですか。しかも衣装のまんまで。信じられません。」と新左衛門に言います。

 

「相すまぬことをしました。申し訳ない。」と言うと、新左衛門のお腹がなります。

 

新左衛門はおにぎりを「こんなうまい握り飯は食したことはござらん。」とおいしそうに食べました。

 

磐梯山のような雪のような白さ、食うてしまうのがもったいない美しさ。」

 

 

「ところで優子殿はどうしてここに?」と新左衛門が聞くと、節子が「このお寺は撮影所から近いし、時代劇の人にもよく使ってもらっていて。」と説明します。

 

「時代劇とは?」

 

「京都で起こった撮影でここでロケしたことない作品なんてないくらい。」

 

住職は優子と顔見知りで新左衛門を時代劇の役者だと思い、優子に連絡をしたのでした。

 

「それより、所属事務所とか何か覚えておられませんか?」と優子は聞きますが、「何も存ぜぬ。」と新左衛門は答えます。

 

「お医者さんが言ってたんですけど、頭打ってるから一時的に記憶が混乱しているんじゃないか。って。」と優子は節子に説明します。

 

住職は「部屋は売るほどあるで。こう見えても御仏に使える身やで。あの男悪い男じゃないで。頭、月代剃っておったで。腰のもんも武光やない。ずっしり重かったし。

 

セリフもないような配役にそこまでなりきろうとするとは」と言いました。

 

節子は「あれは単なる役者バカや。」と言います。

 

 

 

こうして高坂さんは記憶が戻らないまま、西経寺に居候することになりました。

 

新左衛門は掃除機に慣れないながらもお寺の掃除などを手伝っていました。

 

140年…。新左衛門はつぶやいていました。

 

節子がお茶を呼ぶと、目の前にはショートケーキがありました。

 

「かたじけない、頂戴します。」と新左衛門はケーキを食べると、あまりのおいしさに衝撃を受けます。

 

「これは大変高価な菓子なのでしょうか。誰もが口にすることができます?」

 

新左衛門は涙を流していました。

 

「泣くほどうまいですか?」と住職が聞くと、「日の本は良い国になったのですね。こんなうまい菓子を誰もが口にできる、豊かな国に…。」と涙ぐみました。

 

住職は「あんたと話してると、ほんもののお侍さんと話しているように感じますな。」と笑いました。

 

テレビをつけて「時代劇心配無用之介」を流すと、新左衛門は「絵が流れておる!!」と驚きます。

 

新左衛門は娘の生い立ちを語るシーンに涙を流し、さらに殺陣のシーンは思わず手が出て、ラストシーンにも涙をしました。

 

「拙者、ここまで激しく胸を動かされたことはついぞござらん。」と感無量の様子。

 

「これが優子ちゃんが作っている時代劇や。」

 

「怒号飛び交う現場で女流監督目指して戦っている。撮影が終わったらどんな疲れていても台本書いてるって話や。」と住職が説明すると、

 

「まるで、ひとかどの侍でござるな、優子殿は。」と新左衛門も言います。

 

 

心配無用之介の撮影現場では優子が監督と打ち合わせをしていました。

 

優子は別の作品も手伝っていましたが、「夕べ昨日の監督と飲んだんだけどな、終盤の殺陣シーンを屋外に変更したいって言うてたぜ。」と言っていました。

 

優子は住職に電話をし、撮影のお願いをしていました。

 

夕食時に撮影があることを新左衛門も聞き、「優子殿もの来られるのですか?」と嬉しそうでした。

 

優子が撮影で寺を訪れていると、新左衛門は嬉しそうに彼女を眺めていました。

 

住職は法事で不在。

 

さらに新選組のキャストが体調不良となり、今にも倒れそうになっていました。

 

坂本龍馬を追い詰める新選組の追っ手が2人組っていうのはなあ…。」

 

代わりのキャストを探そうとしていると、後ろから新左衛門がやってきて「お疲れ様でございます」と声を掛けます。

 

「おった。」

 

 

新左衛門は新選組の衣装を着て代役を務めることに。

 

「後の2人が立ち回りはやるから。よけられて斬られる。振り向いてバーン。」

 

関本は「よくこんなちょんまげ縫ってる人見つけたな。お芝居は大丈夫?」と聞きます。

 

「任せて下さい。拙者、上役のお付きで幾度もお芝居を拝見しております。もう一度試させていただくわけにはいかないでしょうか。」

 

そして関本と一緒に殺陣の練習をやることに。

 

しかし、倒れるところ大げさで「歌舞伎か!」と突っ込まれてしまいます。

 

 

ついに撮影スタート。

 

 

坂本龍馬新選組3人で追い詰めるシーンが撮影されます。

 

2人の新選組の役者が斬られて倒れ、さらに新左衛門と立ち向かうと、龍馬はピストルを持ち新左衛門を撃ちます。

 

「なんのこれしき!」となかなか倒れない新左衛門。

 

2発目をうけて倒れた新左衛門は過去の武士の時代を思い出していました。

 

振り返ればいろいろあったな…。

おもしろき人生であったのう…。

最後には素晴らしい優子殿と出会えた…。

 

 

カット!!の声がかかっても新左衛門は起きずにそのまま寝ていました。

 

起きんかい、と声を掛けられると、新左衛門は自分が生きていることに驚いていました。

 

優子は「大丈夫ですか?」と声をかけます。

 

龍馬役の「最後のあんた、すごかったよ。」と新左衛門に声を掛けました。

 

「痛み入ります。」と新左衛門は答えました。

 

そして新左衛門は新選組を演じた2人に「お見事!まるで本当の斬り合いのようで、感服つかまりました。」と言いました。

 

関本も「あんたもすごかったで」と言います。

 

 

坂本龍馬の名前を聞いた時、なんとしてでも!と思い、撃たれた時にはもう拙者はここで死ぬのかと走馬灯まで…。」

 

「そこまで役に入り込んでいたってことや、上等や。」

 

 

優子は「本当によかったです。撃たれた時のあの表情。」と新左衛門を褒めます。

 

そして優子は刀を預かりますね。ともらいます。

 

 

住職との夕食では、「あんた出演しとったらしいや。」と住職に言われました。

 

「もう何が何だか無我夢中で。」

 

「新さんの元々の仕事かもしれへんで。」と節子は言います。

 

新選組の皆さまとは思い、同じくしておりました。」

 

そしてお疲れ様でした、とビールを注ぎます。

 

「関本殿に褒められました。」と殺陣師の関本から褒められたことを言うと、「あの関本さんに!」と住職は驚きます。

 

住職は「よし!決めた!」と言います。

 

 

 

住職は新左衛門を連れて優子に「斬られ役になりたい。剣心会に入門したい。」と直談判しに行きます。

 

しかし優子は「高坂さん、あなた時代劇がどんな状況かご存じですか?とても斬られ役で食べることができないんですよ。」と言います。

 

「今の私は赤子のようなもの。何一つできることがありません。剣術の腕前も無用の超術。しかし、撮影所ならばお役に立てることがあるのであると思うのです。

 

初めて優子殿が作られた時代劇を見て驚きました。人の世のおかしみ、かなしみ、苦しみ、怒り、そして歓び。

 

平穏な暮らしを願う人々の営みや思いや…まことのものとしてありました。

 

拙者の心に直接伝わってきたのです。涙が止まりませんでした。救われたような気がしました。

 

あなた方は素晴らしいお仕事をされています。どうか拙者にそのお手伝いをさせてもらえないでしょうか。お願いします。」と頭を下げます。

 

「ありがとうございます。嬉しいです。そんな風に言ってもらえて。」と優子は涙ぐみます。

 

「わかりました。関本さんには私から伝えておきます。入門が許されるかどうかは関本さん次第。いいですね。」

 

 

早速新左衛門は関本と対面。「弟子として末席に置いておきたく存じます。」と土下座をします。

 

「斬られ役をしたいなんて正気の沙汰ではないな。

 

わしらの若いころはな、撮影所で月20本撮っておった。時代劇の黄金時代や。それが今やどうや。時代劇なんて週に1本あったらいい方。お先真っ暗や。

 

そこにお前は飛び込みたいんだ。」

 

「私は事故に遭い、すべてを失いました。今更空腹を恐れることがありましょうや。

 

師いわく、素子を食らい、水を飲み、ひじを曲げてこれを枕にする。楽しみ、そのうちにあり。」

 

論語をそらんじるとはまげだけではなくて立派な侍やな。」

 

「私の身を立てられるにはこれしかありません。何卒。」と頭を下げます。

 

関本は「まずは腕を見せてもらおうか。」と新左衛門に木刀を渡します。

 

 

 

住職は新左衛門のことが気になってそわそわしていました。

 

お寺に優子が訪れると「まだ剣心会に入れるかわからないんですね。」と新左衛門の話をします。

 

「記憶もまともにないやつが入会できるわけがない。高坂が帰ってきてもそのことには触れずにおこう。」と節子とも話します。

 

そこに新左衛門が帰宅します。

 

 

新左衛門は涙を流しており、3人は落ちたと思いフォローをしていると、新左衛門は「入門が・・・許されました。関本殿の弟子にしてもらいました!」と報告します。

 

おめでとう、と3人は喜びあいました。

 

 

 

新左衛門は関本の弟子として演技指導を受けていました。

 

 

優子は上司から「脚本書いているか?」と声をかけられます。

 

「心配無用ノ介も継続が決まって、優子ちゃんにも1本くらい任せたいんやけどな。」

 

 

そして現場には新左衛門の姿もありました。

 

 

こうして高坂さんの斬られ役としての生活が始まりました。

 

 

高坂さんは殺陣や芝居の呑み込みが早く、本物の侍のようなたたずまいで、すぐにあちこちの撮影に呼ばれるようになりました。

 

 

新左衛門は同僚から「そろそろ切った方がええで」と言われ、理容店で髪を短くカットします。

 

鏡の中の自分に違和感を感じながらも「かたじけない」と店主に言いました。

 

 

心配無用之介の撮影が終わると監督に「あんたの殺陣、なんか違うな。」と聞かれます。

 

「初めて武光を握った時、軽さに驚きました。そしてその重さを表せないか。と思いまして。

 

すみません、勝手なことをしてしまいました。」と答えます。

 

 

 

撮影の前、新左衛門は緊張していましたが、優子に「高坂さんならきっとできます」と笑顔で声を掛けられます。

 

新左衛門は悪役の頭としての撮影をしていたのでした。

 

「おぬが心配無用之介というやつか。」

 

そして新左衛門は心配無用之介と2人で斬り合いを演じます。

 

そして無用之介に「気持ちよかったね。」と声を掛けられました。

 

 

こうして高坂さんは斬られ約としてどんどん出世していったのでした。

 

 

撮影所の帰り、新左衛門は自転車の優子に話しかけらます。

 

「私両親が忙しくておばあちゃんに育てられたの。そのおばあちゃんが時代劇が好きで、その影響で私も好きになって。銭形平次とかばっかり見てたんですよ。

 

下敷きは暴れん坊将軍だった。

 

実は言うと、監督になりたいっていう夢、忘れてたんです。毎日疲れちゃって。シナリオもいつのまにか書けなくなって。

 

でも、高坂さんが撮影所で頑張ってる姿を見て、思い出したんです。

 

最近また書き始めたんですよ。シナリオ。」

 

 

 

撮影所の控室では最後の武士の制作発表が行われ、風見恭一郎が時代劇に復帰という会見が流れていました。

 

風見恭一郎は時代劇のスターでしたが、急に時代劇を引退し、東京で日本映画を代表する俳優をしていました。

 

 

新左衛門はアナウンスで会議室に呼ばれ、行ってみるとそこには風見恭一郎がいました。

 

所長は「新作映画の敵役に高坂君を起用したいって。斬られ役ではのうて、セリフもぎょうさんある準主役への大抜擢や。

 

風見先生がテレビを見て直々に言ってくれたんや。」と声を掛けます。

 

「お礼を申し上げるところ、急な顛末でいささか驚いております。」と返す新左衛門。

 

 

高坂君のスケジュールを確認してくる、と所長はいったん会議室を出て「一生懸命頑張っていれば、誰かが見てくれている。ほんまやな。」とつぶやきました。

 

「私を推挙いただきありがとうございます。殺陣や芝居など私より達者な者がここには大勢おります。

 

それがしには過ぎたる役目。分不相応かと存じます。」

 

「貴殿でなければならないんだ。お忘れかな。

 

では、一つ尋ねる。あの嵐の夜の後、あの後おのことはどうされたのであろう。」

 

 

新左衛門はあの夜のことを思い出します。

 

「長州の山形彦九郎殿・・・・。」

 

 

実は彦九郎もあの雷の夜、タイムスリップをして撮影所に紛れ込んでしまい、斬られ役をやることになり、どんどん時代劇のスタートして出世をしていったのでした。

 

 

「あの夜、雷に打たれ30年前のここに来た。昔は貴殿より若かったが、この通り年上になってしまったよ。」

 

「私だけではなかったのか。」

 

「テレビで貴殿の姿を見て驚いたよ。」

 

風見はテレビの取材を受けている新左衛門を見ていたのでした。

 

「腕には覚えがあった私だが、あの時は死を覚悟した。続けておればわしが勝ったがな。」

 

「今となっては何とでも言える。」

 

「どうか、この話受けてくれるか。」と風見が言いますが、「断る。徳川の世を終わらせた貴殿たちへの遺恨、

決して忘れたわけではない!」

 

 

「まだそんなことを言っているのか。そんなこと、今となってはどうでもいいことよ。」

 

「どうでもいいとはどういうことだ!」

 

「お主かおらんのだ。」

 

「本物の侍よ!俺たちの想いを時代劇として残せる者はお主しか…。」

 

「時代劇を捨てたのは貴殿であろう。」

 

 

そこに所長が戻ってきますが、にらみあう2人に「なにがあったん?」と戸惑っていました。

 

 

新左衛門は稽古をしていると、関本が「受けんらしいな。大抜擢の話。あんたもえらなったなあ。スターの話を断るなんて。」

 

「私にはあの役は分不相応です。私は斬られ役があっています。」

 

「アホンダラ!わしらは斬られ役でそれに誇りもある。それでもな、一回くらいは作品の顔になりたい。そんなことを思わない斬られ役がおらんとでも思うか。

 

しょうもない意地張って目の前のチャンスを逃すな!」

 

 

そこに話を聞いていた優子が「私もそう思います。」と入ってきます。

 

「風見さんの時代劇を守りたいっていう思いも本当やと思います。」

 

 

そして新左衛門は風見の敵役の役を受けることになりました。

 

 

風見演じる吉田藤重と会津藩士坂崎が出会うシーン

 

高岡を2人の藩士が襲おうとしますが、坂崎が「お主たちにはかなわん。」と言って遠ざけます。

 

お互い名を名乗り合います。

 

風見は「なかなか堂に入っているではないか。」と声をかけ、新左衛門も「おぬしも10年ぶりの時代劇とはおもえん。」と返します。

 

 

風見と新左衛門は共に殺陣の稽古をしていました。

 

「なぜ捨てた、時代劇を?」と新左衛門は風見に聞きます。

 

 

川辺でのイメージシーンの撮影、セリフはありませんが、風見が新左衛門に語ります。

 

「向こうの時代にいた時、人を斬ったことがある。

 

最初は降りかかる火の粉を払ったまで。と思っていた。

 

 

だがこっちにきて芝居で人を斬るうちにあの時の嫌な感触がよみがえってきた。とうに忘れてたはずなのに、斬った時の顔まで思い出されてうなされる始末。

 

もう限界と思った。」

 

 

「つまらん。見損なったわ。」

 

「この田舎侍が。」

 

 

お互い楽しそうに会話をしていい雰囲気で撮影が終わります。

 

 

高岡が3人を殺陣を行うシーンで、監督が「イマイチなんだよな。斬られた後、高岡をにらむ怨念みたいなの出してくれよ。」と指示します。

 

風見は斬った後、俳優が苦しそうに歪む顔を見て、表情が硬くなります。

 

「風見さん、大丈夫ですか?」と優子が聞き、「風見さん体調悪いみたいなんで別のシーンを先に撮りましょう。」と言うことになります。

 

 

 

風見は一人でバーで飲んでいるところに、新左衛門が来ます。

 

「助けを求めたか。」

 

「飲めないと聞いたが。」

 

しかし、新左衛門は同じものを、とウイスキーのロックを注文します。

 

「楽なもんだな主役というものは。あの程度の立ち回りで良いとは。」

 

「それは嫌味か。俺の苦労がわかるまい。」

 

「わかるものか。スターの気持ちなど。われら斬られ役風情にはな。」

 

新左衛門はおそるおそるウイスキーを口につけます。

 

「貴様には責任がある。徳川の任を終わらせ、この時代の礎を築いた者としての責任だ。」

 

新左衛門は一気にお酒を飲み、「侍らしく、己の役目を果たせ。」と言います。

 

「侍らしくか…。」

 

 

翌日、風見は無事に3人の侍を斬るシーンを演じきりました。

 

斬った侍に「成仏してくれ…。」と言ったのでした。

 

 

 

 

「礼を言うぞ。」と風見は新左衛門に言い、「礼を言うのは私の方だ。この作品に加えてくれた。」と新左衛門は言いました。

 

「じゃあ、貸し借りはなしだな。」と風見は言いました。

 

優子に「今週の中打ち上げ、お二人も来てくださいね。」と声を掛けられ、2人とも「もちろん」と答えます。

 

 

中打ち上げの場では主演の風見が挨拶をします。

 

「10年前、私は時代劇を捨てました。当時は、毎日のように放送をされていました。今はほとんど見られなくなりました。

 

江戸の時代も遠くなりました。寂しい。寂しい限りです。時代劇が、今の世にあわなくなったといえばそれまでですが、でもですね、私は時代劇を残したい。

 

皆が楽しめる本物の時代劇を残したい。あの時代を精一杯生きた者たちの思いを何とか残したい。」

 

新左衛門は風見の顔を見ます。

 

「どうか皆さん、力を貸してください。お願いします。」

 

 

監督は感激し、「最高の時代劇を撮りましょう!」と握手し、乾杯の音頭を取ります。

 

 

 

優子は風見に「お話感動しました。今日のシーンのアドリブのセリフ、憎くて斬るわけではない。キャラクターに深みが出たような気がしました。」と話しかけます。

 

それを聞いていた新左衛門が確かに深みが出た、と話に入ってきます。

 

監督はなんと?と聞くと、「お気に召したみたいですよ。」

 

「あとはラストの殺陣をどうしたらいいか、ですって。何か閃いたら監督に言うてみてください。明日お願いします。」

 

風見は「良い子だの~」というと、新左衛門は「優子殿のことはただの助監督として見ていないからな。貴殿は…優子殿のことをそのような目で?軽蔑するぞ。」

 

風見はまさか…と言うと、「私はただ優子殿の監督になるという夢を応援しているだけであって…。」とぎこちない態度を取りました。

 

 

そして優子から2人に改訂稿が配られました。

 

改訂稿の脚本には明治維新後の描写が追加されていました。

 

戊辰戦争は新政府軍と会津藩を含む旧幕府軍の内戦であった。

会津藩会津城に立てこもり戦った。しかし、新左衛門がいた会津藩が新政府軍に攻められ、命を落とし血の海となる凄惨な状態だった。

新政府軍は見せしめとして場内での埋葬を禁止した。

そのため腐敗した死臭がただようこととなった。

遺された家族たちも寒さと飢えにより、命を落とした。

 

会津藩の末路を読み、新左衛門は静かに涙を流しました。

 

 

 

 

翌日の撮影で新左衛門はセリフがうまく言えず、NGを連発してしまっていました。

 

 

フラフラと歩く新左衛門は道端で吐いてしまい、若者から「どうしてくれるの?」と絡まれてしまいます。

 

後ろから蹴りを入れられた新左衛門は「後ろからとは卑怯な」と言い、逆上した若者はナイフを取り出します。

 

新左衛門はモップを手にし、ふりかざそうとしますが、すべって転んでしまいます。

 

倒れた後、者に蹴りを入れられ、さらにコーラをかけられてしまい、

 

わしはこんなところで何をやっているんだ…。と途方にくれました。

 

「何ができるというのか…。」

 

 

 

新左衛門は監督に「真剣を使って撮影をしたい。」と頼みます。

 

「監督が言っているリアリティとはこういうことではないでしょうか。」

 

優子は「違うにきまってるでしょ。本物を撮ればいいってものではないですよ。」と言います。

 

風見は「面白いと思う。」と答えます。

 

「大丈夫、何があってもこの作品が世に出るように、俺たちも一筆書くよ。」

 

新左衛門は監督に決意の文章を書いて持ってきていました。

 

そして母印を押したのでした。

 

 

関本は新左衛門に「認められんな…。ただの丈を鍛えぬいた刃に、段取りのある立ち回りを本物の斬り合いに見せてこそが斬られ役や。」と言います。

 

 

「役者としてではなくて・・サムライとしてやらねばがんす。」と新左衛門はつぶやきます。

 

 

新左衛門は関本に封書を渡します。

 

「剣心会を抜けるのか。」

 

「師の教えに背くのです。お許しください。」

 

「好きにせい。わしは観に行かんぞ。」

 

 

 

新左衛門は一人で真剣の稽古をしていました。

 

 

その様子を住職に見られてしまいます。

 

朝の食卓で新左衛門はお腹を押さえると住職と節子に心配されます。

「ちょっと立ち回りでしくじりまして。」

 

 

新左衛門は「これまで親身になっていただきありがとうございました。」と頭を下げました。

 

浅漬けを節子に進められて新左衛門は「うまいです。」と言い、涙ながらに食べていました。

 

 

 

 

所長は慌ててやってきて、優子に「真剣で撮影なんて、わし責任とれんで。」と言います。

 

優子は止めたんですが…と言い、印鑑を押した封書を見せます。

 

そこには「万一事故が起きた時の責任は自分らにあって、監督、スタッフ、製作者には一切の賠償を求めない」と書かれていました。

 

所長は「そういうことなら大丈夫や。」と笑っていました。

 

 

そして「風見先生、役者魂見届けさせていただきます。決しておふたりの死は無駄にはしません。」と言い、風見ににらまれてしまいます。

 

 

しかし、撮影場所に新左衛門はなかなかやってきません。

 

「高坂さん、入られます。」

 

ようやく新左衛門が到着し「お待たせしました、よろしくお願いします。」と言い、風見の隣に座ります。

 

優子は「日の入りになったら始めます。真剣を使っているということを忘れないでください。絶対に忘れないでくださいね。」と2人に言いました。

 

 

風見は「リハーサルは無用」と言い、監督も「一発勝負の緊張感、いいじゃないか。」と賛成します。

 

新左衛門は「殺陣ではなく仕合でお願いしたい」と言います。

 

「やはり俺が許せぬか。」

 

「いや、無念のうちに死んでいった仲間に顔向けできんのだ。」

 

「あの夜の続きというわけだな。あいわかった。」

 

「かたじけない。」

 

「楽しかったぞ。お主と映画が作れて。」

 

そして2人の戦いのシーンが始まります。よーい、アクション

 

 

「どうしても、斬り合わねばならんのか。」

 

「それが、われらのさだめ。」

 

「信じる者のために命を捨てるは

 

もののふの本会なり。」

 

「では、参る。」

 

 

2人は硬直をして動きません。

 

そして刀を差し合います。

 

 

「ちょっと待って、これ全部アドリブ。」とスタッフが気づきます。

 

優子は「とめましょう」と言いますが、監督は「絶対止めるな」と言います。

 

 

お互い真剣をよけようと必死です。

 

 

「ほんものや、ほんものの侍がおる…。」2人の気迫にスタッフたちは息をのみます。

 

 

2人の集中した戦いは続きます。

 

風見は剣を落としてしまい、座り込みます。

 

「これがさだめか。さあ、なすべきことをなせ。うてーーーー!」と風見は言い、新左衛門は刀を振りかざすと、血が噴き出し、風見が倒れてしまいました。

 

 

「この血を無駄にはせぬ…。成仏してくれ…。」

 

 

住職と節子は映画館で「最後の武士」を見て「いい映画だったな。映画の新スター誕生か。」と喜んでいました。

 

「いつまでも寺におってくれたらいいんやけどな。」

 

 

 

 

ラストシーンの撮影日、刀を振りかざそうとした新左衛門は風見を撃つことはできませんでした。

 

「俺は…情けない男だ…。」と涙します。

 

「俺たちは互いに国を追って、己を信じる道を精一杯生きた。それでよいではないか。」と風見は言います。

 

そしてカットがかかり、OKが入りました。

 

スタッフたちは2人に向けて全員拍手をします。

 

「今の世も、精一杯、生きねばな…。」

 

「あの頃の俺たちの思いも、時代劇もやがて忘れ去られる時が来るだろう。」

 

「だな、でも今日がその日ではない。」

 

 

優子は新左衛門にビンタをします。

 

「今回だけは許します。二度と、ダメですよ。」

 

「はい。」と新左衛門は言います。

 

 

優子は次のシーン、斬られて倒れる高岡のシーン、血が出るんでお願いします、と切り替えます。

 

風見は新左衛門に「いい子だのう、ほれ」とふっかけますが、新左衛門は「今日はその日ではない」と言います。

 

 

優子は自宅で自分の脚本を描き続けていました。

 

 

新左衛門は斬られ役として引き続き仕事をしていました。

 

 

 

そして撮影所にはまた新たな侍がタイムスリップをして来ていたのでした…。

 

 

 

 

 

 

映画「侍タイムスリッパー」の結末は?元の世界に戻れる?

 

侍タイムスリッパーは幕末の武士が現代の時代劇の撮影所にタイムスリップしてしまうストーリーです。

 

主人公の高坂新左衛門は時代劇の斬られ役として出世していき、なんとあの時相打ちをしていた相手の山形彦九郎も同じく現代にタイムスリップしており、2人で映画作品を撮ることに。

 

結局新左衛門は元の世界に戻ることはなく、現代で斬られ役を続けており、さらにもう一人、新たなタイムスリップをした武士が現れる‥‥というラストシーンでした。

 

おそらく彦九郎(風見)も、新左衛門も現代の世の中で生き続けることになるのではないでしょうか。

 

精一杯生きて、幕末の世で必死に生きた武士たちの思いを生きている限りは紡いでいくのだと思います。

 

 

 

 

 

映画「侍タイムスリッパー」を見た私の感想!時代劇の面白さを徹底的に描き切る!

 

映画「侍タイムスリッパー」を見た私の感想をまとめました!

 

 

映画「侍タイムスリッパー」を見た私の感想 ①時代劇に本物の武士が来たら…の再現度が高すぎる!

 

今作では本物の武士がまさか時代劇の撮影所にタイムスリップをしてしまった!!というところから始まります。

 

当時の生活や戦いぶりを表現している時代劇の中に当時の武士が見たらどう思うだろうか?というストーリーだなと感じました。

 

時代劇でありがちな町娘を助けようとする主人公のヒーローを見て、助太刀いたす、と入ってくる新左衛門。

 

正義感があふれていて弱い者いじめをするのが許せなかったのでしょう。

 

お腹がなってもそんなことはない、と虚勢を張ったりプライドが高い一方で、謙虚で相手を立てることを忘れない新左衛門の姿は本当に素敵でかっこよかったです。

 

家政夫のミタゾノ以外で聞いたことがない「痛み入ります」も新左衛門が言うとかっこよく聞こえました(笑)。

 

また、ケーキを食べて感動したり、時代劇を見て感激もしたり、動乱の幕末とは違い、平和な現代であることも噛みしめているんだなというシーンも心に残りました。

 

そして現代の生活におそらくなじんできたであろう時、自分の出身の会津藩の末路を聞いてしまい、ショックを受けるところも、藩への忠誠心が高かった現れだと思いました。

 

 

 

映画「侍タイムスリッパー」を見た私の感想 ②新左衛門と彦九郎の友情と武士魂に感動

 

実体験を交えたリアルな斬られ役で人気となった新左衛門が再会した時、「あの時の!」となるのがめちゃくちゃ鳥肌が立つ思いで驚きました。

 

まさかお相手も雷によってタイムスリップしていたんですね…。しかも30年前!

 

彦九郎も紆余曲折ありながら30年現代になじんでいる、というのもすごい話です。

 

30年経ってようやく当時のことを分かち合える相手と出会えたのは本当に嬉しかったことでしょう。

 

一度は敵対し、実際に刀を交えた二人ですが、徐々に心が近づいていき友情を感じられるシーンにはグッときました。

 

最後には「あの時の戦いの再来」を目的に真剣で戦おうとするとは…。

 

何年経っても2人は「武士」であるということを感じることができました。

 

そして2人の戦いのシーンには見ている側も息をのみました。

 

ラストで「新左衛門が本当に風見を斬った??」と思わせておいて、それはフリだった、という展開のオチも最高でした。

 

 

映画「侍タイムスリッパー」を見た私の感想 ③主演の山口馬木也さんの気迫がスゴイ

 

元々バイブレーヤーだった山口さんですが、今作は主演として多くの映画賞も獲得されました。

 

リアルな武士、かつ会津弁という難しい役にも関わらず、殺陣のシーンはとにかくかっこよく、新左衛門の人間らしいところは親しみやすく演じていたのが印象的でした。

 

特に優子に対してデレデレしてしまうところが最高にキュートでした。

 

風見との戦いで斬るに斬れなかったシーンの気迫もものすごかったですね!

 

新左衛門は自分が幕末の武士であると、優子や住職たちには告げずにいたところがすごく不思議に感じていたのですが、今の人にも信じてもらえないと思ったのでしょうか。

 

おそらく便利な現代の生活にそれなりになじんでいたであろう新左衛門が「もう一度あの時の勝負をしたい」と真剣での勝負を申し込むのも、やはり彼が「根本は武士である」という大きなプライドを感じました。

 

 

 

 

 

まとめ:映画「侍タイムスリッパー」は侍の魂と映画魂を感じられる名作!

 

日本アカデミー賞をはじめ、各映画賞を総なめにした「侍タイムスリッパー」は主人公新左衛門の侍魂を感じられる映画ですが、

 

自主映画でこんなにも素晴らしい作品を作りだした安田監督の映画人としての魂もひしひしと感じます。

 

私が見た侍タイムスリッパーの感想は下記の通りです。

 

①時代劇に本物の武士が来たら…の再現度が高すぎる!

②新左衛門と彦九郎の友情に感動

③主演の山口馬木也さんの気迫がスゴイ

 

興味がある方はぜひチェックをしてみてください!!!

 

 

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